活動報告
北小町農業農村整備事業推進に向けた取り組みについて
北小町農業農村整備事業につきましては、平成26年1月に「北小町農村農業整備事業推進検討委員会」を組成し、検討に検討を重ね、北小町においては集落営農方式による農業農村整備事業を推進することとし、これを受けて、「北小町集落営農検討委員会」を組成し、「北小町農業農村整備事業推進検討委員会」とともに、集落営農についての話し合いや先進地視察も含めた調査研究を重ね、その結果、北小町地区の農業を取り巻く環境や北小町における農業の将来を考慮し、一集落一農場型の集落営農方式として推進することとしました。そして、平成27年6月に、農事組合法人「北小町集落営農組合」として運営していくこととしました。
また、今回の北小町地区における経営体育成基盤整備事業の事業採択要件は、いかに効率的な営農計画を策定するか、いかに農地の集積を図るかであります。
効率的な営農計画の策定については、経営体育成基盤整備事業に要した費用に対して、その整備された土地を活用した営農活動による営農効果が挙がるような、営農計画の策定と営農活動の実践が必要不可欠であります。
そのためには、整備された農地を可能な限り中心経営体に集積し、その集積された農地を年間を通じてフル活用する必要があります。そのため、今回の北小町の経営体育成基盤整備事業は、乾田式の整備事業として、稲作にも畑作にも果樹園にも使用できるほ場とすることといたしました。
北小町集落営農組合では、その乾田式ほ場を有効に活用し、従来の稲作中心の農業から、野菜、果樹、花、飼料用米等、収益の挙がる営農に取り組むこととします。
また、北小町集落営農組合では、消費者から求められている作物の選定や栽培方法の研究にも取り組むと共に、販売所・加工所の設置、インターネットの活用等、栽培した各農作物の販路や販売方法の調査研究も行います。
また、栽培・収穫した農産物の六次産業化についても、調査研究し、取組むこととします。
北小町においては、鳥獣害対策も大きな課題でありますので、より効果的な鳥獣害対策についても調査研究することとします。
今回の、北小町の集落営農方式による農業農村整備事業は、北小町の従来の農業の考え方、特に農業の経営形態、農業のやり方、圃場の利活用方法、農業の担い手に対する考え方など、従来の北小町の農業形態を大きく変更し、3Kの個人完結方式の農業から地域全体で、みんなで、知恵を出し合い、協力し合い、助け合いながら、集落全体の売り上げの向上を目指すこととします。また、集落の生活環境を守り、雇用の拡大、若者の都会への流失の歯止め等に取組みます。そして、北小町以外のどの地域から注目を集められる集落営農に取り組みますので、一人でも多くの地権者の皆様やご家族の皆様、地域の皆様のご理解とご支援・ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
集落営農の取り組みについて
◎集落営農についてみんなで考えましょう
集落営農とは
集落を単位として農業生産過程における一部または全部についての共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農の事を「集落営農」といいます。
一定のまとまりのある団地的土地利用や機械の共同利用等による農業生産のみならず、農村生活での共同活動を含め、地縁的な関係を基調とする1ないし複数の集落を基盤に、農業生産力の一層の向上を期待し、兼業農家や高齢農家を含めた農家の協力のもとに行う営農の事であります。
集落営農のねらい
1、 効率的な生産体制の確立
機械・施設の過剰投資を解消し、集落単位での農地利用の合理化や機械・施設の共同運用・共同作業などにより無駄を省き、コスト低減を図ります。
2、 農地の有効利用
女性や高齢者が営農の役割を担って参加した集落ぐるみの取組みとサービス事業体等の営農支援を利用した効率的な農業生産活動を行うことで、農地の有効利用と遊休農地の解消を図ります。
3、 農村社会の活性化
集落営農活動により地域住民の相互理解と連帯感が深まり、農村文化の継承や農村の景観保全等の取組を通じて集落コミュニティーの活性化を図ります。
集落営農のメリット
1、経営・経済的な効果
●大型機械の導入により、機械作業が省力化され作業能率が向上します。
●機械・施設の共同利用によりコスト低減が図られ、農業者それぞれの所得が向
上します。
●栽培技術が統一、技術の個人差が解消され反収や品質が向上します。
●農地・農機具の貸し借りや作業の委託が安心して出来ます。
●稲作の省力化により園芸や農産物加工などの複合経営が可能であります。
●耕作放棄地の解消や稲以外の作物の導入により耕地利用率が向上します。
2、集落生活環境の効果
●集落内での話し合い活動が活性化し、集落内での親睦が深まります。
●農作業の省力化により、ゆとりある生活時間が確保されます。
●農業生産活動以外に集落の伝統行事や活動が促進します。
●集落全体での合意形成がすみやかに行われるようになることから、市町村等の
行政機関・団体の支援活動が効率的に行われるようになります。
集落営農ビジョンの決定
北小町では、集落営農による北小町農業農村整備事業の推進に向け、2つの推進検討委員会を立ち上げ、その推進方法等について、調査研究してまいりましたので、これからは、いよいよ、集落の将来の姿を描いていくこととなります。
その将来の姿が「集落営農ビジョン」であります。これは「将来のわが集落の農業はどのような形が望ましいか、どうあるべきか」ということを青写真に描いてみようというものです。
この「集落営農ビジョン」を決めていく時に最も大切なことは、
「みんなで考え、みんなで決める」ということです。
行政や一部の人の意見で決められたビジョンは、集落全体で取り組むための協調性が薄くなり、「絵に描いた餅」になってしまいます。
「自分たちの集落の姿を、自分たちみんなで描く」、つまり、集落のほとんどの人たちの合意のもとにできあがって初めて「生きた計画」になり、みんなで取組むことが出来るビジョンになるのです。
今日までの本委員会では、「集落営農とは」、「農村農業整備事業とは」、「経営体育成基盤整備事業とは」等についての調査研究のための会議や勉強会を開催してまいりました。
その上に立って、これからは、みんなで意見を出し合い、話し合い、検討し合い北小町の「集落営農ビジョン」の案を決定し、最終的には集落全体の合意へと結びつけることが必要であります。
1 集落営農ビジョンを考える4つの柱
(1) 集落の農地をどうするか
将来、耕作や管理ができずに荒れる田や畑が出てくることは容易に、予想されますが、「その時はどうするのか。」ということを今のうちから検討しておく必要があります。
集落内で作り手を捜すのか、集落外の人に耕作してもらうか、集落内外に耕作してくれる人がいるのか、その場合はどうするのか、しっかりした集落営農組織があれば、そこに任せることも出来るのではないか。などについて、みんなで話し合いましょう。
また、集落営農の営農計画の策定も重要な課題でもあります。
どんな集落営農を行うのか、どんな営農活動をおこなうのか、どんな作物を栽培し、どんな方法で販売するの等についても考えておかなければなりません。
(2) 農作業をどうするのか
今、頼んでいる農作業があるとすれば、「それはいつまでも頼めるのか。」ということを考える必要があります。
頼めることが出来ない場合の受け皿の事も考えておかなければならないのではないでしょうか。
(3) 農業機械・施設をどうするのか
農業機械などはほとんど個人で所有しており、自由に使えるという便利さはありますが、稼働率や生産費を考えると無駄が多いのも現実であり、将来の集落全体を考えた時に、「集落の機械・施設をどうするのか」を検討しておく必要があります。
そのためには、現在集落内には、どんな機械が、何台くらいあり、それぞれどのくらいの時間使用しているのかを把握しましょう。
(4) 担い手をどうするのか
耕作しない農地を農協や市町村を中心とする第三セクターにまかせて維持・管理してもらうのもひとつの方法ですが、すべてを頼りにするのは、困難だと思われます。
従って、「集落の農地は集落で守る」という考え方で取組む必要があります。
つまり、「これからの集落の担い手をどうしていくか。」ということを真剣に考え、事前に対策を打つことも重要なことなのです。
2 みんなが納得できる将来のビジョンづくり
前述した4つの柱を念頭に置きながら、みんなで知恵を出し合い、みんなが納得できる集落営農ビジョンにしなければなりません。
ビジョンを作る上でのポイントは、
●自分たちで自分たちのビジョンを作る。
●ビジョンの項目として「農地」、「農作業」、「農業機械・施設」、「担い手」の4つに分け、それぞれの「現在」と「将来」に区分して考えましょう。
●5年後、10年後の姿を明確にしましょう。
●「何を取り組むか」を明確にし、取り組む課題に優先順位をつけましょう。